消防設備士甲種1類は、主に水系消火設備(屋外消火栓、屋内消火栓、スプリンクラーなど)の施工を行うために必要な国家資格です。
受験地は現住所にかかわらず選ぶことができ、東京の受験地であれば年に数回の試験が行われています。
一方、資格取得を志す人の中には、次の仕事で資格保有が必須のため、次の試験で必ず合格しなければならないという人もいるでしょう。
仕事の合間での勉強は少ない時間しかとれず、出来るだけ効率的に学習したいと考える人は多いはずです。
そこで、このページでは消防設備士甲種1類を効率的に合格するための勉強方法をご紹介します。
1.消防設備士甲種1類の取得難易度は?
消防設備士甲種1類の難易度は建築系、建築設備系の資格の中ではやや優しい(★★☆☆☆)です。
合格基準は2科目(筆記試験と実技試験(実技というものの、簡単な作図や写真を見て回答するペーパー試験です))のそれぞれで60%の正答率が合格基準であり、また、受験地を限定しなければ、年に何回も繰り返し受験が可能です。
加えて書店に参考書が充実しており、学習を行いやすい資格といえます。
とは言え、まったく勉強せずとも合格できる程、簡単ではありません。
以降では合格のために必要な勉強方法を分析してきます。
2.どのくらい前から準備を始めれば良いのか?
試験勉強は試験日の約1カ月前から始めるよう、準備をしてください。
これは私の経験から考えた準備期間ですが、多くの人はこの「約1カ月前」で合格できると思います。
ただし、その人の基礎知識によっては、もっと多くの時間が必要になることもあります。
もう少し具体的にすると、「1カ月前から1週間前まで」の約3週間は土日のみ、「試験日の直近1週間」は平日の仕事終わりと休日に勉強を行いました。
時間数に換算すると、
5時間/休日×6休日=30時間(1カ月前から1週間前まで)
2時間/平日×5平日+8時間/休日=18時間(試験日の直近1週間)
合計:48時間
よって、約50時間を確保できるように、早めに計画を立てると良いでしょう。
3.効率の良い学習法は?
3-1.参考書は必要最低限に
消防設備士は先に述べたように市販の参考書が充実しています。勉強の際は市販の参考書で十分です。
ただし、勉強に使用する参考書は少なくしてください。理想は1冊のみで学習することです。
これは消防設備士に限ったことではありませんが、人間の脳は暗記しようとしてもすぐ忘れてしまいます。
冊数を増やすのではなく、1冊のみを繰り返し学習するようにしてください。
ただし、先に述べた「50時間」では、みっちり1冊を学習することを何度も繰り返し実施することは出来ません。
そこで、最初は細かく覚えようとはせず、流し読みします。
1回目の流し読みでだいたいの内容をとらえたら、2回目の学習で詳細まで覚えるようにしてください。
3回目の学習は自分が覚えられていないところを重点的に実施します。
この3回目までのサイクルで「50時間」ギリギリとなると思います。
3-2.暗記必須の表は必ず覚える
消防設備士試験には「暗記必須の表」があります。
具体的には下記があげられます。これらは必ず覚えるようにしましょう。
筆記試験で問われる他、実技試験の作図でも必要となる知識です。
<暗記必須の表>
①防火対象物の表(消防法施行令別表第1)
②設置基準(屋内消火栓、屋外消火栓、スプリンクラーの設置基準)
③屋内消火栓の放水性能、水源水量・ポンプ吐出量、設置位置
④スプリンクラーの防護範囲、放水性能、水源水量・ポンプ吐出量
3-3.頻出の作図は書けるようにしておく
実技試験での作図問題は問題のパターンが多くありません。
参考書の例題等で紹介されているものはどれも頻出の作図パターンになりますので、必ず書けるようにしておきましょう。
その際、気を付けることとして、参考書の例題では「空欄となっている部分の作図をせよ」という出題がよくありますが、本番の試験で何処が空欄となるかは事前にわかりません。
全体を書けるようにしておくことをおすすめします。
たとえば、屋内消火栓の系統図等は頻出ですので、白紙にすべて書けるようにしておきましょう。
4.合格するためにおすすめの参考書は?
消防設備士甲種1類の市販参考書でおすすめなのは「消防設備士1類 超速マスター(ノマド・ワークス(消防設備士研究会)」です。
この参考書は、消防設備について詳しくない人が読んでも、理解出来るよう簡単に解説されています。
また、基本的には解説書ですが、例題、演習問題も掲載されており、ちょっとした習得度確認もこの一冊で行うことが出来ます。
一方、内容を簡単にするため、細かい点は省略されており、この1冊で100点満点を取るのは難しいです。
消防設備の初学者が合格基準を短時間で満たすために作られた参考書と言えるでしょう。
また、上記1冊では勉強に不安を感じる方は、「本試験形式 消防設備士試験1類模擬試験問題集(電気書院編集部)」もおすすめです。
この本は、参考書ではなく純粋な問題集のため、参考書の例題、演習問題だけでは、不安な方の最後の追い込みに良いです。
5.本当にこれで合格出来るの?
私は上記の方法で無事に合格(2013年10月、大学院生の時です)することが出来ました。
受験は初回でしたが、筆記試験の正答率は88%(法令93%、基礎知識100%、構造・機能80%)、実技試験の正答率は68%でした。
また、上記参考書などを使って、当時の私の後輩も初回で合格しています。
6.まとめ
消防設備士甲種1類に合格するための情報はいかがでしたでしょうか。このページを読んだ方が、試験に合格できることを願っています。
また、受験に際してのご質問等あれば、お気軽にお問い合わせください。
※このページは2014年1月に執筆した記事をリニューアルしたものです。